こんにちは、北海道旭川でWeb制作・Webマーケティングによる集客採用支援を行なっている岩間創作室です。
「ブランディング」という言葉を聞くと、大企業や有名企業の取り組みだと思う方も多いのではないでしょうか。しかし、実は地方の中小企業や個人事業主にこそ、ブランディングは大きな武器になります。
地方企業におけるブランディングの重要性
地方では、商品やサービスの質が高くても「知ってもらえない」「価値が伝わらない」という課題を抱えている企業が多くあります。広告予算が豊富な大手企業のようにテレビCMを打つことは難しいかもしれませんが、今はWebやSNSを通じて全国、さらには世界に情報を届けることが可能です。
地方企業が強みを発揮するためには、「地域性」や「生産者のストーリー」を組み合わせ、ブランドを確立していきます。
大手と競争してはいけない分野
まず理解しておきたいのは、地方企業が大手と同じ土俵で競争するのは現実的ではないということです。広告費や販売網、物流、知名度、価格において大手には勝てません。
そこで必要なのが差別化です。大量生産できる大企業に対し、価格を下げて競争するのは得策ではありません。
「ここでしか買えない」「この人から買いたい」と思わせるブランド価値を作ることが重要です。
それぞれの土地には、自然や文化、地域資源といった大手には真似できない独自の価値があり、県外の人が持つイメージも様々です。さらに、個々の商品やサービスを作り出す生産者自身のストーリーは、消費者の共感を得やすく、選ばれる要素となります。
ブランディングの核となる「地域性」の活かし方
地域ブランドの信頼感
たとえば、「北海道」で道外の消費者が思い浮かべるイメージのひとつに「食べ物が美味しい」があります。他にも自然豊かな環境、美しい四季、農産物…といった資源に恵まれたイメージです。全国的に見ても「北海道産」というだけで安心感や信頼感も持つ消費者は少なくありません。
この地域性を活かせることは、地方企業の大きな強みです。
あまり知名度がないエリアの場合、有効なブランディング手段は「ストーリーを積極的に伝えること」です。
- 地域の歴史や文化
- そこで暮らす人々の想い
- 産業や特産品が生まれた背景
- 他の地域では味わえない独自の価値
これらを物語として丁寧に発信することで、地名そのものにブランド力がなくても、「その商品や企業を通じて地域の魅力を知る」きっかけを作ることができます。逆に言えば、知名度がないからこそ「ただの商品」として見られてしまうリスクがあります。商品単体で勝負するのではなく、背景にあるストーリーを積極的に伝えることで、「無名な地域の無名な商品」から「ここにしかない特別な価値」へと認識を変えることができます。
SEO観点からの地域性活用
地域名を含んだ検索は、全国からのニーズが集まります。地域名を組み合わせたブランディングは、そのままSEO対策としても有効です。
さらに、地域名を含むとSEO上のライバルが大幅に減少するので、上位表示がされやすく、比較的労力もかかりにくいという特徴があります。
生産者・企業の「物語」を伝えるメリット
商品やサービスに機能面で十分に差別化ポイントがある場合は、素人である顧客が理解し価値を感じられるよう丁寧に説明します。
ただ、一般には価格や機能だけでは差別化が難しい時代です。
ストーリーでブランド価値を高める
そこで、消費者が共感し、支持するのはその裏にある「物語」です。
- どんな想いで商品を作っているのか、どのようなこだわりがあるか
- なぜこの地域でこの事業をしているのか
- どのような苦労や工夫を重ねてきたのか
こうしたストーリーを伝えることで、単なる商品以上の価値を提供できます。
発信概要
メディア
かつては「4大メディア」と呼ばれる 新聞、テレビ、雑誌、ラジオ をほとんどの人が見ていました。今でもこれらメディアは力を持っていますが、状況は大きく変わっています。2021年にインターネット広告がこれらメディア広告費用を逆転したように、SNSを中心に幅が広がり「人によって見るものが違う」という状況になっています。
地方の中小企業にとって、これはメリットとなります。4大メディアは大きな資金力がないと広告を出しにくいですが、SNSは無料で始められますし外部委託しても月に〜数十万と手の届く範囲で、大企業とも対等に戦えます。
発信内容
上記のような「こだわり」や「苦労」を発信しましょう。
そのほか、生産者紹介で顔を出すことも安心感につながりますし、「開発秘話」のような背景情報も購入者に注目されます。
難しく考えてしまう方も多いですが、地域や業界で当たり前にしていることも、外部の人は全く知らない場合も多いものです。案外、自社でしていることが業界でも珍しいケースもあるでしょう。そういった、自分では当たり前のことも、発信すべき内容に該当します。
なお、発信の粒度は顧客によって最適なものが異なります。
たとえば、「北海道北見市」の商品をプロモーションする際、顧客が北海道内の場合は「焼肉の街」「たまねぎ」「寒暖差が大きい」といった知識があるため「北見市の商品」としての発信が有効となります。道外の顧客は「北見市」を知らないことが多く、特産・特徴はもちろん地理的な位置もわからないため「北海道」としての発信の方が良いでしょう。その上で、詳しく「北見市」の特徴を説明します。さらに、顧客が海外・インバウンドの場合は「日本」に旅行に来ていたり「日本製」であることが重要となります(台湾のように何度も日本に来ていて詳しい顧客は除く)。その場合は「日本」である上で「北海道」「北見市」はどのような特徴があるか訴求する、という具合です。
具体的な発信方法
無料〜低価格で使えるメディアを複数組み合わせて発信を行います。
発信を行う際、各メディアで発信内容に一貫性を保つよう注意してください。
MEO対策(Googleマップによる集客)
店舗がある場合は必須です。「地域名 + 業種」で検索されたときに表示されるようにするMEO対策は、地域ビジネスに直結します。店舗情報や写真に「地域性」と「物語」を反映させることで、より強い集客効果を発揮します。
インバウンド対策にも効果を発揮します。
店舗があり一般消費者を顧客とする場合は最優先に行う施策です。
SNS(InstagramやX)
日々の取り組みや小さな物語を継続的に発信する場としてSNSは有効です。
拡散性が高いInstagramとXがおすすめです。リソースがあれば両方行いたいですが、どちらかを選ぶのであれば、多くの商品・サービスに向いているのがInstagramです。
Instagramでは、写真や動画を伴って商品サービスを紹介できます。作業の様子や製造工程の一部など、普段見られない舞台裏を共有することで、消費者の親近感を高められます。一貫性を持った内容を心がけながら、投稿していきます。静止画の制作はCanva、動画編集はスマホアプリのEditsがおすすめです。
例)北海道旭川のブランディング
旭川は北海道第二の都市でありながら、ブランディングの面ではまだ発展途上にあると感じています。
旭川と聞いて全国の人が真っ先に思い浮かべるのは「旭山動物園」でしょう。行動展示の革新で全国的に有名になり、旭川観光の大きな柱となっています。しかし、その知名度が圧倒的に強いために、他の地域資源や産業のブランドが相対的に埋もれてしまうという課題もあります。
グルメやその他の観光資源の課題
旭川ラーメンや地元食材を使った料理など、食の魅力は確かにあります。しかし、市外の人が旭川ラーメン以外にぱっと思いつくグルメがあるかというと、なかなか難しいのではないでしょうか。観光や物産展などで一定の認知を得るものの、「旭川といえばコレ」というイメージを全国レベルで確立するには至っていません。
家具やデザインでの挑戦
旭川家具は、全国的にも高い評価を得ているブランドです。地元の木材と職人の技術を融合させ、「長く使える上質な家具」として確かな地位を築きつつあります。また、デザイン都市としての取り組みも進められています。
しかし、その取り組みが旭川の外部、特に全国規模で浸透しているかというと、まだ十分とは言えません。私自身、2年弱ほど前に旭川に移り住んだ身ですが、実はこれらは知りませんでした。旭川市に長く住む人の中からも「いつの間にか家具が推されるようになったがよく知らない」と言う声を聞きます。業界関係者や一部の愛好家には知られていても、一般消費者には「旭川=家具」「旭川=デザイン」という認識は強く根付いていないのが現状です。
デザインについては、フリーランスのデザイナーは比較的移住してきやすい職業ですので、ブランドが確立し知名度が上がれば移住促進と地域の活性化が望めます。一方で、移住しやすいというのは、魅力がなければ外部に流出しやすいことにもなります。住むとなった場合、単一の商品サービスと異なり生活全般を考慮することになります。旭川のいじめ問題は、そういった意味でも影を落としている可能性があります。
旭川まとめ
旭川は、家具やデザインといった取り組みを強化しつつも、まだ道半ばの状態にあると思われます。動物園という単一の強力なブランドに依存せず、地域全体で「地域性 × 物語」を組み合わせた多面的なブランディングを推進することが、今後の課題といえるでしょう。ブランド浸透にはある程度時間もかかるので、今後に期待したいと思います。
まとめ
地方企業にとってブランディングの鍵は、「地域性 × 生産者の物語」です。この2つの要素を組み合わせることで、唯一無二の価値を作り出すことができます。
大手と同じ土俵で競う必要はありません。地域ならではの強みを整理し、物語を伝えることで、全国の消費者から共感を得ることが可能です。
- 地域性を活かしたブランド作り
- 生産者や企業の物語を伝える工夫
- ホームページやMEO、SNSを活用した発信
これらを実践することで、地方の中小企業や個人事業主も、全国に誇れるブランドを築くことができるでしょう。
調査や戦略立案から、ブランディング、SNS支援、ホームページ制作、MEO対策を行っております。旭川だけでなく、オンラインで札幌・帯広・釧路など全道、さらに全国の対応を行っております。